【簿記3級】第16回 その他の債権と債務 -立替金・預り金-

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前回の講義と同様に、今回も簿記3級で出題される債権・債務について学習していきます。

簿記3級で出題される債権・債務

簿記3級で出題される債権・債務は以下の通りです。(青字は今回の学習科目です)

  • 売掛金(クレジット売掛金)、買掛金
  • 受取手形、支払手形
  • 電子記録債権、電子記録債務
  • 貸付金、借入金
  • 手形貸付金、手形借入金
  • 未収入金、未払金
  • 前払金、前受金
  • 立替金、預り金
  • 仮払金、仮受金
  • 受取商品券
  • 差入保証金

今回の講義では、立替金、預り金について学習します。

立替金に関する仕訳

「立替金(たてかえきん)」は、本来従業員が負担すべき保険料や家賃などの費用を、会社が立替払いした場合などに使用されます。

例えば、会社を通して加入する生命保険などは団体割引が適用されるため、個人で加入するより保険料が安くなることがあります。

その場合は、個人が口座引落により保険料を支払うのではなく、会社が保険料を立替払いし、給料天引きにより精算するという仕組みが採られます。

立替金は、従業員に対する給料と絡めて出題されることが多いので、給料の支払いに関する仕訳と併せて確認していきましょう。

従業員が負担すべき金額を立て替えたときの仕訳

【取引例】
会社を経営する小早川は、植草さん(従業員)が負担すべき生命保険料3,000円を現金で立て替えました。

このとき、保険料を立て替えた小早川は以下の通り仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
立替金 3,000 現金 3,000

保険料は本来従業員が支払うべきものであり、会社は立て替えているだけなので、立て替えた金額を後で返してもらう権利(資産)が発生することになります。

立て替えた金額を返してもらう権利(資産)は「立替金」という勘定科目で処理します。そのため、借方に立替金3,000円を記入します。

そして保険料の支払いにより現金(資産)が減少するため、貸方に現金3,000円を記入します。

なお上記取引例では従業員に対する立替金が発生しているので、「従業員立替金」という勘定科目を使用する場合もあります。簿記3級においては、いずれの科目を使用するか問題文に明記されているので、問題文の指示に従うようにしてください。

(従業員立替金を使用する場合の仕訳)

借方 金額 貸方 金額
従業員立替金 3,000 現金 3,000

給料支払い時に立替金を精算したときの仕訳

本来従業員が負担すべき金額を会社が立て替えた場合、給料天引きによって立替金を精算することが一般的です。

そこで、給料支払いの仕訳と併せて、立替金の精算の仕訳を確認していきましょう。

【取引例】
小早川は、植草さん(従業員)に支払う給料200,000円のうち、
先に立て替えた3,000円を差し引いた残額を現金で支払いました。

このとき、給料を支払った小早川は以下の通り仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
給料 200,000 立替金
3,000
現金 197,000

従業員に対する給料は、会社が収益を上げるために必要な費用と考え、「給料」(費用)という勘定科目で処理します。

そのため植草さんに対する給料の支払いは、費用の増加として借方に給料200,000円を記入します。

また立替金を差し引いた残額を支払うことで、立替金(資産)と現金(資産)が減少するため、貸方に立替金3,000円と現金197,000円を記入します。

なお「立替金」ではなく、「従業員立替金」科目を使用していた場合は以下の通り仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
給料 200,000 従業員立替金
3,000
現金 197,000

預り金に関する仕訳

「預り金(あずかりきん)」は、本来従業員が納付すべき源泉所得税や住民税などを、会社が一時的に預かる場合に使用されます。

例えば所得税については、本来所得(給料)を受け取った従業員が納付すべきです。
しかし、一個人である従業員が正確な確定申告を漏れなく行うことは、手間がかかるだけでなく、所得税法等の関連法規を理解する必要もあり、ややハードルが高くなります。

そこで、会社など従業員に給料を支払っている事業者は、年間の所得にかかる所得税を月々の給料から差し引いて、事業者から国に納付しなければならないという決まりがあり、これを源泉徴収といいます。

なお源泉徴収した所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに、会社から国に納めなければなりません。

すなわち、給料の支払い日から所得税の納付日まで、会社が従業員から源泉所得税を預かっていることになるため、この預かっているお金を「預り金」(負債)という科目で処理することになります。

なおこの「預り金」は、後で国にお金を支払う義務と考え、負債として処理します。

給料支払い時に源泉徴収したときの仕訳

預り金は給料の支払いと併せて出題されることが多いので、給料の支払いに関する仕訳と併せて確認していきましょう。

【取引例】
小早川は、給料200,000円のうち、源泉徴収税額20,000円を差し引いた残額を
植草さん(従業員)に現金で支払いました。

このとき、給料を支払った小早川は以下の通り仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
給料 200,000 預り金
20,000
現金 180,000

まず給料を支払っているため、費用の増加として借方に給料200,000円を記入します。

また給料を支払った時点で、従業員が納付すべき所得税を源泉徴収(一時的に預かる)する必要があります。

この預り金は、後で国に納付しなければならないため、負債の増加として貸方に預り金20,000円を記入します。

そして源泉徴収税額20,000円を差し引いた残額を支払っているため、貸方に現金180,000円を記入します。

預り金を支払ったときの仕訳

それでは預り金を支払ったときの仕訳を確認しましょう。

【取引例】
小早川は、預り金として処理していた源泉徴収税額20,000円を、税務署に現金で納付しました。

このとき、所得税を納めた小早川は以下の通り仕訳します。

借方 金額 貸方 金額
預り金 20,000 現金 20,000

所得税を納付することで、後でお金を支払う義務(負債)が消滅するので、借方に預り金20,000円を記入します。

そしてお金を支払うことで資産が減少するので、貸方に現金20,000円を記入します。

まとめ

  • 従業員が負担すべき費用を立て替えたときの仕訳
    借方 金額 貸方 金額
    立替金 3,000 現金 3,000
  • 給料支払い時に立替金を精算したときの仕訳
    借方 金額 貸方 金額
    給料 200,000 立替金
    3,000
    現金 197,000
  • 給料支払い時に源泉徴収したときの仕訳
    借方 金額 貸方 金額
    給料 200,000 預り金
    20,000
    現金 180,000
  • 預り金を支払ったときの仕訳
    借方 金額 貸方 金額
    預り金 20,000 現金 20,000
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