【簿記3級】第13回 その他の債権と債務 -手形貸付金・手形借入金-
次回の講義はコチラ→ 第14回 その他の債権と債務 -未収入金・未払金-
前回の講義と同様に、今回も簿記3級で出題される債権・債務について学習していきます。
目次
簿記3級で出題される債権・債務
簿記3級で出題される債権・債務は以下の通りです。(2022年度の出題範囲に基づく)
- 売掛金(クレジット売掛金)、買掛金 ←第05回講義で解説済み
- 受取手形、支払手形 ←第10回講義で解説済み
- 電子記録債権、電子記録債務 ←第11回講義で解説済み
- 貸付金、借入金 ←第12回講義で解説済み
- 手形貸付金、手形借入金
- 未収入金、未払金
- 前払金、前受金
- 立替金、預り金
- 仮払金、仮受金
- 受取商品券
- 差入保証金
今回の講義では、手形貸付金、手形借入金について学習します。
手形貸付金に関する仕訳
お金を貸し付けた際には、通常、借用証書を受け取りますが、借用証書ではなく手形を受け取る場合があります。
この場合、通常の貸付金とは区別して「手形貸付金(てがたかしつけきん)」という勘定科目を使います。
では取引例を使って手形貸付金の仕訳を確認してみましょう。
このとき、お金を貸し付けたそうまは、以下の通り仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
手形貸付金 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
復習となりますが、約束手形とは「いつまでに、いくらを支払う」ということを記載した有価証券です。
そのため、約束手形は借用証書の代わりに用いることができるのです。
約束手形を受け取ることで、将来お金を受け取る権利が発生します。
そこで資産の増加として、借方に手形貸付金10,000円を記入します。
また、それと同時に現金が減少するため、資産の減少として、貸方に現金10,000円を記入します。
なお、商品を販売して受け取った約束手形は「受取手形」勘定を使用していましたが、お金を貸し付けたときに受け取った約束手形は「手形貸付金」勘定を使用することに注意してください。
- 商品を販売したとき ⇒ 受取手形
- お金を貸し付けたとき ⇒ 手形貸付金
勘定科目を分ける理由は、保有している約束手形が、営業活動(商品販売)によって生じたものなのか、財務活動(貸し付け)によって生じたものなのかを区別できるようにするためです。
手形借入金に関する仕訳
では次に、借り手側の仕訳も確認していきましょう。
このとき、お金を借り入れた小早川は、以下の通り仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 10,000 | 手形借入金 | 10,000 |
お金を借り入れたことで現金が増加するため、資産の増加として、借方に現金10,000円を記入します。
また約束手形を振り出すことで、将来お金を返済する義務が発生するため、負債の増加として、貸方に手形借入金10,000円を記入します。
手形貸付金の場合と同様ですが、通常の借入金と区別するため「手形借入金(てがたかりいれきん)」という勘定科目を用いる点に注意してください。
また、商品を仕入れて振り出した約束手形は「支払手形」勘定を使用していましたが、お金を借り入れたときに振り出した約束手形は「手形借入金」勘定を使用することにも注意してください。
- 商品を仕入れたとき ⇒ 支払手形
- お金を借り入れたとき ⇒ 手形借入金
まとめ
- お金を貸し付けた際に約束手形を受け取ったときの仕訳
借方 金額 貸方 金額 手形貸付金 10,000 現金 10,000 - お金を借り入れた際に約束手形を振り出したときの仕訳
借方 金額 貸方 金額 現金 10,000 手形借入金 10,000
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