【簿記3級】第14回 その他の債権と債務 -未収入金・未払金-
次回の講義はコチラ→ 第15回 その他の債権と債務 -前払金・前受金-
前回の講義と同様に、今回も簿記3級で出題される債権・債務について学習していきます。
目次
簿記3級で出題される債権・債務
簿記3級で出題される債権・債務は以下の通りです。(2022年度以降の出題範囲に基づく)
- 売掛金(クレジット売掛金)、買掛金 ←第05回講義で解説済み
- 受取手形、支払手形 ←第10回講義で解説済み
- 電子記録債権、電子記録債務 ←第11回講義で解説済み
- 貸付金、借入金 ←第12回講義で解説済み
- 手形貸付金、手形借入金 ←第13回講義で解説済み
- 未収入金、未払金
- 前払金、前受金
- 立替金、預り金
- 仮払金、仮受金
- 受取商品券
- 差入保証金
今回の講義では、未収入金、未払金について学習します。
未収入金に関する仕訳
未収入金とは、商品以外のモノを売却し、代金を後で受け取ることにしたときの未収額のことをいいます。
なお、商品を売り上げ、代金を後で受け取ることにしたときの未収額は売掛金といいます。
(参照:第05回 商品売買 -売掛金・買掛金・クレジット売掛金-)
未収入金と売掛金の違いは、簿記3級において非常に重要な論点なので、しっかり理解しておきましょう。
- 商品以外を売却 ⇒ 未収入金
- 商品を売り上げ ⇒ 売掛金
未収入金も売掛金も、将来、現金を生み出す源泉となるものなので、資産に該当します。
勘定科目を使い分けている理由は、商品売買という本業で発生した資産なのか、本業以外で発生した資産なのかを、一目で分かるようにするためです。
では具体的な仕訳を取引例を使って確認しましょう。
小早川はそうまに事務用イス(帳簿価額5,000円)を5,000円で売却し、代金は月末に受け取ることとしました。
このとき、事務用のイスを売却した小早川は、以下の通り仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未収入金 | 5,000 | 備品 | 5,000 |
商品以外のモノを売却した場合、将来お金を受け取る権利(資産)は、売掛金ではなく未収入金で処理します。そのため、借方に未収入金5,000円を記入します。
そして事務用のイス(資産)が売却により減少したため、貸方に備品5,000円を記入します。
ちなみに、事務用のデスクやイス、棚やパソコンなど、会社のオフィスで使用する固定資産は「備品」という科目で処理します。(第20回 有形固定資産の取得 参照)
※ 商品を売り上げたわけではないので、貸方に「売上」と記入しないように注意しましょう!
なお後日、未収入金の代金を回収したときは以下の通り仕訳します。(現金で受け取った場合)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金 | 5,000 | 未収入金 | 5,000 |
未払金に関する仕訳
未払金とは、商品以外のモノを購入し、代金を後払いにしたときの未払い額のことをいいます。
なお、商品を仕入れ、代金を後払いにしたときの未払い額は買掛金といいます。
(参照:第05回 商品売買 -売掛金・買掛金・クレジット売掛金-)
未払金と買掛金の違いも、簿記3級において非常に重要な論点なので、しっかり理解しておきましょう。
- 商品以外を購入 ⇒ 未払金
- 商品を仕入れ ⇒ 買掛金
未払金も買掛金も、将来、現金を引き渡す義務といえるので、負債に該当します。
勘定科目を使い分けている理由は、商品売買という本業で発生した負債なのか、本業以外で発生した負債なのかを、一目で分かるようにするためです。
では具体的な仕訳を取引例を使って確認しましょう。
小早川は、植草さんのお店で事務用のイスを5,000円で購入し、代金は月末に支払うこととしました。
このとき、事務用のイスを購入した小早川は、以下の通り仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
備品 | 5,000 | 未払金 | 5,000 |
未収入金の仕訳の際に紹介しましたが、事務用のイス(資産)は備品として処理します。そのため資産の増加として借方に備品5,000円を記入します。
商品を仕入れたわけではないので、借方に「仕入」を記入しないように注意しましょう!
そして商品以外のモノを購入した場合、将来お金を支払う義務(負債)は、買掛金ではなく未払金で処理します。そのため負債の増加として、貸方に未払金5,000円を記入します。
なお後日、未払金の代金を支払ったときは以下の通り仕訳します。(現金で支払った場合)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
まとめ
- 未収入金と売掛金の違い
◆商品以外を売却 ⇒ 未収入金
◆商品を売り上げ ⇒ 売掛金 - 商品以外のモノ(ここでは備品)を売却し、代金を後払いにしたときの仕訳
借方 金額 貸方 金額 未収入金 5,000 備品 5,000 - 未収入金の代金を回収したときの仕訳(現金を受け取った場合)
借方 金額 貸方 金額 現金 5,000 未収入金 5,000 - 未払金と買掛金の違い
◆商品以外を購入 ⇒ 未払金
◆商品を仕入れ ⇒ 買掛金 - 商品以外のモノ(ここでは備品)を購入し、代金を後払いにしたときの仕訳
借方 金額 貸方 金額 備品 5,000 未払金 5,000 - 未払金の代金を支払ったときの仕訳(現金を支払った場合)
借方 金額 貸方 金額 未払金 5,000 現金 5,000
次回の講義はコチラ→ 第15回 その他の債権と債務 -前払金・前受金-